篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
あーもう、またからかわれた!!
相手にしてたら遅刻しちゃう、と早歩きしたらすぐに隣にやってきて肩を組まれる。
柑橘系の香りがふわっと広がった。
だから、近いって!
佐野くんだってモテるし、そこにいるだけで目立つんだから反感を買われるようなことはしたくないの!
ほら、「隣にいる子誰?」みたいな感じでじろじろ見られてる!
篠宮くんのファンは清楚で可愛い子が多くて、
佐野くんのファンは派手系女子が多いイメージかな。
「ちょっと、肩組まないで!」
身体を強く押してもビクともしない。
私ってこんなに力弱かったっけ?
「冷たいな、もっと仲良くしよーぜ」
全然離してくれる気配がない佐野くん。
あなたの言う“仲良し”は別の意味に聞こえるんですが。
「ラインで誘ってるのに、倉科が全然乗ってくれねーからこうやって話しかけてんだよ」
困り果てていると、少し遠くで金髪のギャル軍団がこっちを睨んでいるのが見えた。
「何あの子、瑞季の女?」
「そんな訳ないじゃん!
あんな地味な子タイプじゃないでしょ」
「じゃあ、なんで瑞季にベタベタしてんの?
ムカつく」
ひえっ……ばっちり会話聞こえてる。
あんな気の強そうな子達を敵にしたら学校来れないよ。誰か助けて!!
「……馴れ馴れしいんだよ、離れろサボり魔」