【完結】最高糖度のキミが好き
そんな私の隣を、これから部活に向かうジャージ姿の生徒たちが通り過ぎていった。窓から校庭の様子を確認して、「土砂降りじゃん」なんて嫌な顔をする子たちもいる。その様子をぼんやり眺めていると、ポケットに入れていたスマホが震えはじめた。
誰だろう。お母さんとお父さんは時差の関係でかけてこない時間のはずだ。
画面を確認すると、今日は仕事へ行くためお昼を食べて早退した日野くんの名前が表示されていて、私は目を見開いた。慌てて下駄箱の隅へと向かい、誰かに聞こえないよう音量を落として電話に出る。
「もしもし……?」
「あ、俺だけど。突然かけちゃってごめんね。今どこにいる? 学校?」
「うん、丁度今から帰るとこ」