【完結】最高糖度のキミが好き


 日野くんは私を見つけ平然と駆け寄ってくる。周りの人たちは彼の声を聞き、首を傾げはじめた。皆彼に注目して、連れの人とこそこそ話をしている。



「あの、ひ、人が見てるよ」



「そう? 気のせいじゃない?」



 気のせいじゃない。断じて気のせいじゃない。明らかに周りの人の視線が、「どこかで見たことある人」を思い出す目だった。それにちらちらと「あの人さあ?」という声も聞こえる。写真を撮られたりしたら、一緒に居るのが私みたいなどこにでもいる凡人でも、彼に多大な迷惑をかけてしまうだろう。



「ばれてるよ。い、いくら私みたいなのでも、人と歩いてるのとか撮られたら、日野くんの仕事に影響が」



「無いよ。むしろ話題性利用するような場所選んだんだから。行こ?」
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