【完結】最高糖度のキミが好き
ぱっと差し出されたのは水族館のチケットだ。
なにも考えず反射的に時間があると言ってしまった手前、断ることはできない。迷っている間にも彼は上目遣いでこちらを見てきた。
「どうしても、駄目かな? 一緒に行ってくれるだけでいいんだ」
「えっと……」
「お願い。俺女子で仲良くしてもらってるの五十嵐さんだけで、他は一人もいないし、姉とか妹もいないし、女の子の親戚とかもいなくて、……五十嵐さんにしかお願いしたくないんだ。ドラマ初めてだし、どうしても成功させたくて……お願い……!」
そう言って頭を下げる日野くんを私は慌てて押さえた。
ドラマもあるし彼がこう言ってるわけだし、私のちっぽけな羞恥心とか心臓がぎゅってなって死にそうだからとか言ってる場合じゃない。