【完結】最高糖度のキミが好き
「決まったら教えて。あ、洋室のほうは買って使ってない折り畳み式のベッドがあるからね。あと、父親も母親もここには帰ってこないから、気を遣わなくていいよ」
「わ、分かった……」
頷いてからはっとした。日野くんから家族の話題が出たのは、今が初めてだ。それと同時に今まで全く彼が家族について何も話さないことに疑問を抱いてこなかったことに気付いた。
部屋を見回すと周りは綺麗に整頓されている。いつも通りの彼の家のリビングだ。でも相変わらず生活感は感じられない。
それは綺麗だから高級だからと思っていたけど、もっと根本的に人が生活している感じが全く感じられないのだ。