【完結】最高糖度のキミが好き

 返事をしようとすると、声が出る前に今度はティラミスを食べさせられてしまう。



 彼に食べさせられたティラミスは、昨日味見をしたものよりずっと甘い。それでいて、昨日とはどこか決定的に違うような味がした。



 日野くんの家で彼と一緒に食事をしてしまった私は翌日、赤々と染まった紅葉が映る車窓に揺られていた。



 電車は勿論、宿泊体験学習のある行楽地へと向かっている。



 学校の最寄り駅から到着まで大体二時間あるということで、今朝はいつもより登校時間が早くなってしまった。皆いつもの制服姿ではなく私服姿で、座席に座ったり扉側に固まったりして楽しそうに話をしている。



「大丈夫? 真木くん頭ふらふらして来たらすぐ言ってね」

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