【完結】最高糖度のキミが好き

「ありがとう」



「ううん」



 日野くんは私の手を握り睡眠体制に入ったらしい。すー、すー、と規則的な呼吸を始める。寝つきが早い。彼の呼吸音は微かなもののはずなのに、距離のせいかとてもよく聞こえる。



 こんなに小さな音が聞こえるのだから、今どうしようもなく鼓動する私の心臓の音も聞こえるのかもしれない。



 少しでも自分の心臓の音が静かになって日野くんに迷惑をかけなくて済むよう、私は瞳を閉じて深呼吸を始める。でもどうやって息をすればいいのか忘れてしまうほど、彼の存在を近くに感じてしまう。



 ……本当に、何なんだろう、今日は。日野くんのことを好きじゃなくなりたいのに、どうして私は今、彼と同じベッドで寝てるんだろう。



 胸が苦しい。早く好きなのをやめたい。



 好きなのをやめたら今日だって眠れたのかもしれない。全然好きじゃない誰かを好きだと嘘を吐かずに済んだし、嘘を吐いたまま縁結びの神社に行かなくて済んだ。



 あの神社、結局好きじゃない同士で行くと何が起きるのか調べるの忘れちゃってたな……。



 明日起きたら調べよう。


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