【完結】最高糖度のキミが好き


「待って、ちょっと待って、日野くん、落ち着いて」

「落ちつけないよ」



 ぎゅっと抱きしめられて、パニックになった。日野くん相変わらず上は裸だし、っていうかいつの間にか上はパジャマすら脱いじゃってるし、鎖骨とかくっついてるしシャンプーの匂いするし、こっちも落ち着けない。



「俺、五十嵐さんのこと大好きなんだ。ずっとずっと好きだった。本当四月とかに会えた時本当に嬉しかった。どっか空き教室に連れ込もうと思ったくらいだもん。チャンスは何回かあったんだよ。五十嵐さん一人暮らしだしさあ、配達員装ったりとかもいくらでも出来ちゃうじゃん。それにどうでもいい奴らに囲まれてイライラしてたし。俺さあ、本当五十嵐さん以外ゴミに見えてるんだよ。五十嵐さん以外人間じゃないから。本当は話をするのも見るのも聞くのも、五十嵐さんじゃなきゃ嫌なんだ。っていうか、五十嵐さん以外の人間が吐いた空気とか吸いたくないし。あ、五十嵐さんのお父さんとお母さんは大事だと思ってるよ。でも正直に言えば、やっぱり俺と五十嵐さん以外皆邪魔かな。それくらい五十嵐さん好きなんだ。大好き。五十嵐さんが可愛い。俺五十嵐さんのこと大好き。だから結婚してね。ちゃんと幸せにするから俺のこと選ぼう? 最後は五十嵐さんを看取るのも嫌だし、五十嵐さんに俺を看取らせるのも嫌だから一緒に死のう? 俺の首絞めて殺してよ。ね? 五十嵐さん俺のことちゃんと殺してね? ……ああ~夢みたいだな。俺ずっと五十嵐さんのこと好きだったんだ。俺さ、五十嵐さんが俺の事拒絶するなら、五十嵐さんのこと殺して死ぬくらい、ずっとずっとずっと愛してるんだけど、五十嵐さんは俺のこと好きになって後悔してない? やめたくなってない?」



「う、うん。大丈夫だよ。えっと、とりあえずお互い、一緒に天寿を全うできるように頑張ろうね?」



「うん。ありがとう五十嵐さん」



 日野くんはいつの間にか、ごちそうを前にした様な顔つきに変わっていた。いや、それよりも、もっと、嬉しそうな、顔になっているような……。
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