あなたに巡り会えてよかった…
「君は自分の力で立ち上がれる強い人だね。両親は誇りに思ってると思うよ。」

「そう思ってもらえるように生きていかなきゃ、ですね。」

「うんうん。」

「でもあの日、あなたに会えなかったらこんなに吹っ切れてないかも、が正直なところです。
恥ずかしいけどあんなに泣かせてもらってよかったです。」
私は赤くなりながら話した。
流石に情けないところばかり見せているので顔を上げられない。

すると彼は
「君の役に少しでも立てたのならよかった。人生っていろんなところでいろんな人とつながでているよね。」

「そうですね。不思議ですね。」

「あのあとお寺めぐり以外はしたの?」

「はい!ダイビングしようかと思ったけど急すぎてできなかったからシュノーケリングしましたよ。やっぱり透明度が高くて綺麗でした。」

「シュノーケリングかぁ。いいじゃない。海は全部洗い流してくれるしね。」

「そうですね。ずっと魚たちを眺めていられますね。次はバリでダイビングしたいなって思いました。」

「そうだね。俺はあれから潜りまくり。でも君に言われてちょっと観光も回ってみたよ。今回潜る以外しないつもりだったけど地元の人と仲良くなって釣りに連れていってもらったりもした。あ、でもナイトダイブも初めてやったよ。怖いと思っていたけど案外そんなこともなくてさ。凄いとしか言いようがなかった」

「そんなに潜ってたんですか?凄い。私なんて体力ないからそんなに潜らないです。」

「俺体力だけはあるんだよね。それに潜るためにしかお金使わないし。」

「潜るのも結構かかりますよね。確かに。」

「そうだよな。だから独身のうちしかこんなこと出来ないだろうなって思うけど、こんなことばっかりしてるから婚期を逃すんだけどさ。」

あははは、と頭をかきながら彼は笑う。

「私も旅行ばっかりしてるからそんなもんですよ。旅行行きたいから合コンとか飲み会に参加するのがもったいなくて。普段はホント質素な生活ですよ。両親も旅行貧乏でしたし、私にはこれが普通なんですよね。」

「旅行貧乏ね…わかるなぁ。普段質素にしててもいいから行きたくなるその気持ち。」

周りのみんなにはもう27歳なんだから出会いを探しなよ、と言われる。
あっという間に30になっていき遅れるよ。
旅行もいいけど彼氏と行けばいいじゃん。

どれだけの人にこれを言われたかわからない。

私だって彼氏はいたらいいなと思うけどわざわざ合コンに行ってまで探す気になれない。
合コンの雰囲気もあまり好きではないのにお金を払うのってもったいなく思えてしまう。
可愛い服も着たいけどそんなに大量に買わず、つい着回しのきくものにしてしまう。
ランチもついコンビニでおにぎり買うくらいなら、と家からおにぎり持っていってしまう。

みんなには貧乏性とまで言われがち。
意識してるわけじゃないけど染み付いてしまった私の生活。でも私にはこれが普通だから特に負担ではない。

彼は私のことを貧乏性と思わず質素と言った。同じなんだなぁって思った。
きっと彼はその生活が負担に思ってるわけじゃなくて楽しみのために、と楽しく節約してるんだろうなって思った。
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