あなたに巡り会えてよかった…
天気も良く新宿御苑はピクニック日和。

近くのカフェで飲み物を買いベンチに座った。

「改めまして、阿部樹です。33歳。東京在住でサラリーマンしてたんだけど趣味が高じて今はフリーライターしてる。自分の旅行記を書いたり、旅行雑誌の編集したりしてる。」

「私は西島未央。27歳。旅行会社でカウンター業務をしてます。」

彼から改めてよろしく、と握手される。
やっぱり大きくて温かい。

彼は話したいことがいっぱいだった、と言う。

泣いていたあの日、何故私と一緒にあのあと一日過ごしてあげなかったんだろう、と後悔したらしい。部屋に戻ったあと気になりビーチへ戻ったがすでに私はいなかったみたい。
翌日からもホテルで見かけることはなくどうしようもなかった、と。
飛行機でまた会うことができとても嬉しかった、と。私の姿を見て安心した、と。
話していてとても心地よく、同じ空気感でいられるので日本でもまた会いたいと思ってくれていたと。
でも私に今さら名前を聞けなかった。連絡先も聞かなかった。用意していた連絡先を渡すことさえできなかった、と。


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