イケメンなアイドル幼なじみと、甘々な同居生活365日。
おそろいがいいの。
時刻は約11時30分。
いまの様子はというと……。
「わーこれくるちゃんに似合う〜」
ショッピングモールでお買い物中、そう言って、子供ようのワンピースを手に取って私に合わせてきたり。
「これとかいいんじゃない?」
そう言って猫耳のカチューシャを付けてきたりと自由人。
いまは黒いマスクと帽子を被っているけれど、シンプルながら高級な白い服に、ジーンズと、パーカーを身に纏っている。
だけど、それはとてもカッコよくて、誰でも見惚れてしまうと思う。
「お兄さんカッコいいですね!よければ」
声をななちゃんに声をかけている大人の女の人。
「……くるちゃん〜猫耳欲しい?」
「い、いらないよ!」
不意にそんなことを言うななちゃん。
「私と遊ばない〜?」
今度は別の女の人にそう言われている。
「じゃあくるちゃんように買うね」
「じゃあ私はななちゃん用に犬の耳のカチューシャ買う!」
そう言って、対抗してなぜかカチューシャを買ったりしているのは、昔からのこと。
そして、ななちゃんが女の人を無視するのも、いつものこと。
「強がんないの〜」
「うるさい!」
お互いに、お互いにカチューシャを付けさせるために購入。
おバカすぎるやりとりだけど、このやりとりはもう子供の頃から変わらない。
そんな調子で買い物を進めていると、人混みに入り手を繋いでくれていたものの、はぐれてしまった。
ひとまず混んでいない場所に行き、スマホで連絡を取ろうとする。
「きゃっ……!」
急に誰かにぶつかられて体制を崩し転ぶ。
落ちたスマホを握りしめて、すぐに立ち上がる。
「あ?気をつけろよ」
「ご、ごめんなさいっ……」
わ、私、一応ぶつかられた方だと思ったんだけど……。
「え?やば、ちっちゃめっちゃ可愛い!」
私の顔を見てから、なぜだかわからないけどそんなことを急に言い出した男の人。
「え?あー…………さっきはごめんね」
「えっ……あ、あのっ……」
ドンッ!
「ひっ……!」
壁に迫られて、不安になって、助けて欲しくて……色々な感情が浮き出て全てまとまって出たのは涙だった。
「うゎ、泣いちゃった」
「お前さいてー」
「うるせぇ」
「ってか泣くとこも可愛すぎかよ」
な、なにを言ってるの……?
「あたりめぇだろ俺の胡桃なんだから」
この、声はっ……。
「ななちゃんっ……!」
するとななちゃんは変装を取るという意味不明な行動に出た。
「え!嘘、あれ七瀬くんじゃない!?」
「え!?本物!?」
ザワザワと周りが騒ぎ出す。
「うゎーファンの皆さん〜コイツらにいじめられたー助けてー」
棒読みでそう言ったななちゃんと共に、ファンの人たちが私に絡んできた人達に攻撃を始める。
「あんた七瀬くんいじめるとか最低!!」
「意味わかんない!」
グチグチと色々なことを言われている中、限界になったのか男の人たちは去って行った。
「胡桃、大丈夫?」
「ななちゃん……ありがとう……」
また涙がポロッと出て、だらしなくて思わずしゃがみ込む。
また、迷惑をかけちゃった。
いっつもそうだ。私はチビだからって、色々な人にからかわれて、いっつもななちゃんが守ってくれて。
「よし、じゃあ……お前ら……ツラカセ……」
「ひ!」
男の人たちの怯える声が聞こえた。
い、いつのまに……気づいたらななちゃんは男の人たちの腕をガッシリ掴んでいる。
「俺の胡桃にちょっかいかけたからには、死ぬ以外なにもないよな……?」
「だ、だめななちゃん!もう大丈夫だからっ……!!」
日に日に、絡まれたら絡まれるほど、怒りの程度が上がっていく。そして、この言葉も決して嘘でなく紛れもない真実として言ってるのだ。
「胡桃様!」
「し、執事たち!?」
な、なんでいるの!?
って……そうだ、いつも遊びに行く時とか、過保護なお父さんのせいでいっつも執事もきてたんだっ……。
そして、私は執事たちに連れ去られ、安全な場所へ。
ななちゃんの方を見れば、ドス黒いオーラぷんぷんで、男の人たちを怯えさせている。
さすがに、ファンの人たちがいるところじゃあ蹴ったり殴ったりと、いつもすることはしないらしくて。
でも、目だけで殺そうとしているような……。
「まったく、いくら天海財閥のおぼっちゃまだからと言って、どこがよろしいのですか?」
「そんな言い方しないで。ななちゃんはとっても優しくて甘えん坊で可愛くて、カッコよくて。ちっちゃい頃から、私が守ってなきゃいけないの」
守れる場合がちがう時もあるけれど、私だって一応ななちゃんを守ってきたつもりはある。
そして、こんな時ながらもふと思い出した。
*
『天海金持ちだからってちょーし乗ってんじゃねぇよ!!』
『そうだ!コイツ顔面がいいのを鼻にかけやがって!』
蹴られたり殴られたり。
『やめろ!!大丈夫ですか七瀬様!?』
出てくるのは、担任の先生で。私とななちゃんだけ別もののように接して。
小学校は特別なところに行っていたわけでもなく、普通だったから、きっとななちゃんはいじめられていた。
私には、仲のいいお友達がいて、その子たちと一緒にいたからななちゃんとは小学生の頃は関わってなかった。
幼稚園の頃から、家同士が近くて仲良くしていた仲だけれど、別にもう喋ったりも特にしなかった。
でも、いじめられてるなんて知らなくて。目撃したら、体が止まらなくてで。
『こらー!!ななちゃんをいじめるなー!!』
『ちょ、胡桃!?』
『くるちゃん……?』
弱々しく、私のことを呼んだななちゃん。
本当ならきっと護身術で強いんだと思うけれど、大事にしたくないのだろう。
『金持ちだからって比べないで!ななちゃんがカッコいいのは、ななちゃんの心が綺麗だからでしょ!!ななちゃんのことなんもわかってないくせに勝手なこと決めつけないで!!』
『くるちゃん……』
*
なーんてことがあったなぁ。
「し、失礼しました!」
「ううん、みんなそうだけど……執事たちは、わかってくれるって信じてるから」
にこっと微笑めば、ほんのり顔を赤くしながらも優しく微笑み返してくれた執事たち。
そして、ななちゃんは……。
「許してください!!もうしません!!」
「うーん。こんなところで炎上騒動になんのめんどすぎるし、まぁ今回は見逃すよ。よし、じゃあまたね」
「ひっ……!」
す、すごいっ……。
男の人たちは震え上がっていて、ななちゃんはファンサをしている。
いまの様子はというと……。
「わーこれくるちゃんに似合う〜」
ショッピングモールでお買い物中、そう言って、子供ようのワンピースを手に取って私に合わせてきたり。
「これとかいいんじゃない?」
そう言って猫耳のカチューシャを付けてきたりと自由人。
いまは黒いマスクと帽子を被っているけれど、シンプルながら高級な白い服に、ジーンズと、パーカーを身に纏っている。
だけど、それはとてもカッコよくて、誰でも見惚れてしまうと思う。
「お兄さんカッコいいですね!よければ」
声をななちゃんに声をかけている大人の女の人。
「……くるちゃん〜猫耳欲しい?」
「い、いらないよ!」
不意にそんなことを言うななちゃん。
「私と遊ばない〜?」
今度は別の女の人にそう言われている。
「じゃあくるちゃんように買うね」
「じゃあ私はななちゃん用に犬の耳のカチューシャ買う!」
そう言って、対抗してなぜかカチューシャを買ったりしているのは、昔からのこと。
そして、ななちゃんが女の人を無視するのも、いつものこと。
「強がんないの〜」
「うるさい!」
お互いに、お互いにカチューシャを付けさせるために購入。
おバカすぎるやりとりだけど、このやりとりはもう子供の頃から変わらない。
そんな調子で買い物を進めていると、人混みに入り手を繋いでくれていたものの、はぐれてしまった。
ひとまず混んでいない場所に行き、スマホで連絡を取ろうとする。
「きゃっ……!」
急に誰かにぶつかられて体制を崩し転ぶ。
落ちたスマホを握りしめて、すぐに立ち上がる。
「あ?気をつけろよ」
「ご、ごめんなさいっ……」
わ、私、一応ぶつかられた方だと思ったんだけど……。
「え?やば、ちっちゃめっちゃ可愛い!」
私の顔を見てから、なぜだかわからないけどそんなことを急に言い出した男の人。
「え?あー…………さっきはごめんね」
「えっ……あ、あのっ……」
ドンッ!
「ひっ……!」
壁に迫られて、不安になって、助けて欲しくて……色々な感情が浮き出て全てまとまって出たのは涙だった。
「うゎ、泣いちゃった」
「お前さいてー」
「うるせぇ」
「ってか泣くとこも可愛すぎかよ」
な、なにを言ってるの……?
「あたりめぇだろ俺の胡桃なんだから」
この、声はっ……。
「ななちゃんっ……!」
するとななちゃんは変装を取るという意味不明な行動に出た。
「え!嘘、あれ七瀬くんじゃない!?」
「え!?本物!?」
ザワザワと周りが騒ぎ出す。
「うゎーファンの皆さん〜コイツらにいじめられたー助けてー」
棒読みでそう言ったななちゃんと共に、ファンの人たちが私に絡んできた人達に攻撃を始める。
「あんた七瀬くんいじめるとか最低!!」
「意味わかんない!」
グチグチと色々なことを言われている中、限界になったのか男の人たちは去って行った。
「胡桃、大丈夫?」
「ななちゃん……ありがとう……」
また涙がポロッと出て、だらしなくて思わずしゃがみ込む。
また、迷惑をかけちゃった。
いっつもそうだ。私はチビだからって、色々な人にからかわれて、いっつもななちゃんが守ってくれて。
「よし、じゃあ……お前ら……ツラカセ……」
「ひ!」
男の人たちの怯える声が聞こえた。
い、いつのまに……気づいたらななちゃんは男の人たちの腕をガッシリ掴んでいる。
「俺の胡桃にちょっかいかけたからには、死ぬ以外なにもないよな……?」
「だ、だめななちゃん!もう大丈夫だからっ……!!」
日に日に、絡まれたら絡まれるほど、怒りの程度が上がっていく。そして、この言葉も決して嘘でなく紛れもない真実として言ってるのだ。
「胡桃様!」
「し、執事たち!?」
な、なんでいるの!?
って……そうだ、いつも遊びに行く時とか、過保護なお父さんのせいでいっつも執事もきてたんだっ……。
そして、私は執事たちに連れ去られ、安全な場所へ。
ななちゃんの方を見れば、ドス黒いオーラぷんぷんで、男の人たちを怯えさせている。
さすがに、ファンの人たちがいるところじゃあ蹴ったり殴ったりと、いつもすることはしないらしくて。
でも、目だけで殺そうとしているような……。
「まったく、いくら天海財閥のおぼっちゃまだからと言って、どこがよろしいのですか?」
「そんな言い方しないで。ななちゃんはとっても優しくて甘えん坊で可愛くて、カッコよくて。ちっちゃい頃から、私が守ってなきゃいけないの」
守れる場合がちがう時もあるけれど、私だって一応ななちゃんを守ってきたつもりはある。
そして、こんな時ながらもふと思い出した。
*
『天海金持ちだからってちょーし乗ってんじゃねぇよ!!』
『そうだ!コイツ顔面がいいのを鼻にかけやがって!』
蹴られたり殴られたり。
『やめろ!!大丈夫ですか七瀬様!?』
出てくるのは、担任の先生で。私とななちゃんだけ別もののように接して。
小学校は特別なところに行っていたわけでもなく、普通だったから、きっとななちゃんはいじめられていた。
私には、仲のいいお友達がいて、その子たちと一緒にいたからななちゃんとは小学生の頃は関わってなかった。
幼稚園の頃から、家同士が近くて仲良くしていた仲だけれど、別にもう喋ったりも特にしなかった。
でも、いじめられてるなんて知らなくて。目撃したら、体が止まらなくてで。
『こらー!!ななちゃんをいじめるなー!!』
『ちょ、胡桃!?』
『くるちゃん……?』
弱々しく、私のことを呼んだななちゃん。
本当ならきっと護身術で強いんだと思うけれど、大事にしたくないのだろう。
『金持ちだからって比べないで!ななちゃんがカッコいいのは、ななちゃんの心が綺麗だからでしょ!!ななちゃんのことなんもわかってないくせに勝手なこと決めつけないで!!』
『くるちゃん……』
*
なーんてことがあったなぁ。
「し、失礼しました!」
「ううん、みんなそうだけど……執事たちは、わかってくれるって信じてるから」
にこっと微笑めば、ほんのり顔を赤くしながらも優しく微笑み返してくれた執事たち。
そして、ななちゃんは……。
「許してください!!もうしません!!」
「うーん。こんなところで炎上騒動になんのめんどすぎるし、まぁ今回は見逃すよ。よし、じゃあまたね」
「ひっ……!」
す、すごいっ……。
男の人たちは震え上がっていて、ななちゃんはファンサをしている。