キミだけは推さない、!( º言º)


「おいヨル。ゴミどもにアキラの存在気づかれてねえだろうな」


ヨルは、副社長であり俺をスカウトした張本人。


「今のところ。あと、ゴミじゃなくてマスコミね」


芸能活動を始める前から

俺を事務所に誘う人間は少なくなかった。


母さんと街を歩けば、何枚もの名刺を渡された。


『芸能界に興味ない?』

『テレビに出るお仕事なんだけど』


そんな中で俳優志望の俺が

弱小事務所を選んだのは


「小バエがわいたら。消せ」

「はいはーい」


ヨルだけが


『まちがいなく金になるよ。君』


――――悪い大人だったから。


「俺にアイドルみてぇな役もうまわすなよ」

「んー? 乗り気だったじゃん」

「あ? どこがだよ」

「僕もまた制服着てアキラちゃんに会いに行こうかな~」

「刑務所入りたいかオッサン」

「ところでアキラちゃんに婚約指輪渡したんだって?」

「な……んで。それ」

「ずっとすきだった子だもんねー。あの子のために頑張ってきたもんねえ?」

「止めないんだな」

「僕は反対しないよ。まだまだ稼がないとねー。未来のお嫁さんと子供たちのために」

「うるせ」


まあ、俺の選択は間違っていなかった。



< 240 / 248 >

この作品をシェア

pagetop