キミだけは推さない、!( º言º)
「おいヨル。ゴミどもにアキラの存在気づかれてねえだろうな」
ヨルは、副社長であり俺をスカウトした張本人。
「今のところ。あと、ゴミじゃなくてマスコミね」
芸能活動を始める前から
俺を事務所に誘う人間は少なくなかった。
母さんと街を歩けば、何枚もの名刺を渡された。
『芸能界に興味ない?』
『テレビに出るお仕事なんだけど』
そんな中で俳優志望の俺が
弱小事務所を選んだのは
「小バエがわいたら。消せ」
「はいはーい」
ヨルだけが
『まちがいなく金になるよ。君』
――――悪い大人だったから。
「俺にアイドルみてぇな役もうまわすなよ」
「んー? 乗り気だったじゃん」
「あ? どこがだよ」
「僕もまた制服着てアキラちゃんに会いに行こうかな~」
「刑務所入りたいかオッサン」
「ところでアキラちゃんに婚約指輪渡したんだって?」
「な……んで。それ」
「ずっとすきだった子だもんねー。あの子のために頑張ってきたもんねえ?」
「止めないんだな」
「僕は反対しないよ。まだまだ稼がないとねー。未来のお嫁さんと子供たちのために」
「うるせ」
まあ、俺の選択は間違っていなかった。