キミだけは推さない、!( º言º)


「ユズ~!!!」


それでも止まらないファン。

暴走気味だ。


わたしは、ファンの子みたいに叫べない。

夢中になれない。


ナナセの人気がすごいことは、理解した。


だけどそれだけ。


わたしの中でナナセは、芝居の好きな男の子。


それと、ただのヘンタイ。


「……がんばれ」


ぽつりとつぶやいたとき

ナナセが、こっちを振り返った。


わたしの声なんて聞こえたわけないのに


「ちょっと。ユズがこっち見てる」


わたしに反応したわけじゃないのに


『結局来てんじゃねーか。バーカ』


ベッと舌を出してるナナセが

わたしにそう言ってきたように見えたこと


その瞬間だけは

ちょっとドキドキしてしまったこと


本人には絶対に言ってやるもんか。


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