この恋は狂暴です
次の日の朝
俺は学校の玄関である人物を待っていた。

「薫くんだ~♪」 「おはようございます藤木さん♪」 回りの女共が騒ぐ。
それを全て無視して俺は一点を見続けていた。

ホント
なんで今まで気づかなかったんだろ 
こんな遠くからでも彼女の姿ははっきりわかる。

「?!」
キレーな目ヂカラのある瞳と視線が合う。

俺は彼女に近寄った。

「はよ♪畑野さん」

「・・女の子たちにあいさつくらい返したら?」
「別に関係ないし、俺、畑野さんを待ってたし。」
「!!」

その空気に回りにいた女達も気づいたみたいで、苦笑いしながら早々と立ち去って行った。


「少しはガッコのアイドルっての自覚したら?」
「大丈夫♪これでもちゃんと自覚してるーつもりだから♪」

「はぁ・・で、何か用?」
畑野さんはあきらかに機嫌が悪いというカンジで聞いてきた。

「っつ!!ちょっ!」
俺は畑野さんの手を掴んで校舎から出た。


そして校舎裏の倉庫まで連れてくると手を離した。

(もちろん無傷ではないっ!)
「っつ――って―な!この女っ」

「は?なにも言わずにこんなとこまで静か~について来るほど、お人よしじゃないからっ!」


「はぁ~・・」
俺は深いため息をつき、ホントどこに惚れたんだろ桃弥は・・と、あいかわらず疑問を抱く。



「何よ」
お姫さまは睨んでるし。(はぁ・・)

じゃ、
ま。始めるか。


「畑野さんてさ、男いるって本当?」 
まずはストレートに聞いてみた。


「!!?」
目ヂカラのある瞳が見開いた。
そして、
「・・なんで、そんな事、答えなきゃダメなわけ?」

やっぱり(はぁ~)素直に言うわけねぇよな。


じゃ、
第2段階。



「惚れたから。」




「・・ー・・は?!???!」

怒りくるうわな、この姫さんだったら。

でも、俺は負けられないんだ。桃弥の為にも。

「な、何考えてんの?!惚れたなんてっ、ウソでしょーが・・っ」
 
は。
さすが姫さんは鋭いな
んー、でも・・めずらしく暴れなかった ・・・な?


「正直、最初はなんだ?この女って思ったけど?なんか俺の周りにいないタイプなんだよね。畑野さんって。」
そう言ってにっこり微笑んだ。
 
「うっ! 
っ――・・はぁ、やっぱり。惚れてなんて無いじゃん。ソレ、ただの好奇心!」

「そう。ホントはわからない、俺にも。だから、ためしに付き合ってみない?」


「!――――――・・ 」



「それとも彼氏いるから無理?」 俺は畑野さんの顔を覗きこんだ。

それを避けるように顔を下に向けた畑野さんは
「か、・・彼氏なんていないよ」 と呟いたんだ。


(よおっっしっつ!!俺の誘導作戦成功!!~なんだ彼氏なんていないじゃんか、桃弥っ大丈夫だ!安心しろよ~♪)
俺は心の中でガッツポーズを決めた!



「・・でも。 今、彼氏できちゃったね。」



「へ?」

「あたしと付き合うんでしょ?藤木薫!」


へっ?!

(ノ――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!)
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