生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
7歳になったハルルは、手始めに近所の子供達を集めて遊ぶ機会を増やした。

場所はスチュアート家の裏の森。

その中央は広場になっており、数十人の子どもたちが集まっても十分遊べる広さであったのだ。

ハルルは子供達と遊びを通して他人との人間関係というものを理解させていくことにした。

遊ぶ上で必要なチームメンバー、リーダーの役割。

仲間として活動する上では受容や妥協、交渉術が必要となってくること、などなど。

時には万能執事もどきのレザルスといった大人の協力も得ながら、無垢な子どもたちに少しずつ知識と教養を植え付けていった。

それは一種の洗脳とも言えるのかもしれない。

しかし、情操教育は戦争回避の第一歩だとハルルは思っている。

将来的にここで育った子供達がどういった未来を選択するかはわからない。

だが、知る権利は奪えないだろう。

ハルルは前世から得たチートな能力を教育という分野で使いたいと考えていた。

もちろん、その後の取捨選択は本人の自由。

安全な家庭という箱から飛び出し、学校という名の小さな社会が生み出した闇に飲み込まれ引きこもってしまった前世の波瑠。

だからこそ、戦う手段と知恵を今世の子供達には授けたい。

この平和な島国だからこそ、ハルルはそう考え行動を起こした。

ここでは、子供達全員が先生で生徒になれる。

お互いに習ったこと、知っていることを交代で教え合う。

そうして得た知識を家庭に還元する。

そうすることで生活レベルが格段に上がっていくはずなのだ。

人の役に立つということは子どもたちの自尊心も承認欲求も満たすことに繋がる。

そう、強く信じていたから。
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