生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
近所の子供達・・・そこにはもちろん、ハルルの家族である兄と妹も含まれる。

ハルルが他の子供達との遊びに夢中になり始めたからといって、ハルルの面倒をみること以外にミシェルに娯楽があるわけでもない。

あったとしても散々読み尽くした本くらいで、この世界にはテレビやスマホ、ゲームもインターネットも存在しないのだ。

大好きなハルルと遊べないのであればますます退屈になることは必須。

ミシェル、いやカノンでさえも、くっつき虫と言ってもいいくらいハルルにくっ付いて回った。

“皆が健やかで笑って暮らせることが第一“

それが世界の理であるかのように生活するスチュアート家。

そんな中で、突然、他人との関わりをもとうとし始めたハルルに、当初、ミシェルのみならず両親も動揺を隠せずにいた。

しかし、ハルルは幼いながらも、何らかの思惑があって行動しているのだろうと、理解のある家族は何故か黙って支援をしてくれた。

ハルルの野望は、誰にも邪魔されずに子供達の知的レベルを底上げ島の自己防衛手段の確立することにあった。

出だしから邪魔されるわけには行かなかったのである。

子供達の教育は、もちろん、小学生レベルから。

生活に密着した算数(お金の概念と換算の仕方)、理科(作物の成り立ちと農業の基礎)、家庭科(料理や裁縫)、読み書きから始め、決して無理強いはせず、子供達の負担にならないようにと8年かけてゆっくりと進めていった。

情操教育には娯楽も必要なので、ケイドロや陣取り、ボール遊びに缶蹴りといった外遊びを導入。

自作したオセロやトランプなどで雨の日の室内遊びも工夫した。

学校の外枠は、自分たちの秘密基地と称して山小屋のようなものを建てた。

もちろん、大人達の助けも借りたのだが、ハルルとしては、あくまでも“工作“の一貫としての扱いだ。

出来上がった木造校舎は、前世とは比べ物にならない程の出来でも、自分達が作り上げたという達成感は何者にも代え難い経験だった。
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