生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「ハルル、今日は何をして遊ぶの?」

アオハル学園の朝は、友人(生徒)達のそんな一言から始まる。

もとよりこの島国には学校や会社という組織は存在しない。

目的がなければいくらでもダラケて過ごすことができるニートの楽園でもあった。

前世の波瑠にとってなら天国とも言えるのだろうが、便利すぎる物が何一つのないこの島国では、何もしない=死を意味するのである。

他国の本や情報はあるのに、何故かこの島国では表立った他国民との交流はない。

流行や最先端のものとはもちろん無縁だ。

ハルルの父ロゼレムと隣人執事もどきレザルスは時々フラリと島からいなくなることがある。

単純な彼らがどこで何をしているのか?

"もしや鎖国?“

ハルルの脳裏にそんな言葉が飛来する。

"黄金の国ジパング、黒船来航、鉄砲伝来・・・"

正直、この国に他国から侵略されるほどの魅力があるとは思えないが、魔力のないハルルにこの国の全貌がわかるはずはなかった。

とはいえ、平和なこの国にあっても、他国に責め入られた弱国の末路をハルルの持つチートな“歴史の知識“がハザードランプを点灯させながら伝えてくるのだ。

『危険回避のため、今できることは何でもする』

無縁と思っていた世界的な感染症の流行に振り回された前世の波瑠は、平和が当たり前ではないことを知ってしまった。

前世とは打って変わって、危機感だけでなく正義感をも募らせた、若干独りよがりとも言えなくもない?ハルルだったが、意外にも素直に受け入れてくれる今世の友人達と共に楽しみながらアオハル学園でのノルマをこなしていくのだった。


< 19 / 88 >

この作品をシェア

pagetop