生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「うーん、アオハル学園も随分軌道に乗ってきたけれども何かが足りないんだよね」

自由気ままに過ごす友人(生徒)達の姿を眺めながら、ハルルは首を傾げながらポツリと呟いた。

前世の小学校、中学校程度の知識は共有してきた。

生活するのに最低限な知識(衛生面や病気の予防など)の普及にも努めた。

しかし、かつての波瑠が味わえなかったアオハル(青春)を謳歌するためには、勉強や運動だけではなく何か必要なものがあったような・・・?

「あ、恋愛。恋愛要素が足りないのね」

引き篭もりの2次元オタク過ぎて忘れていたが、人が生きていく上で恋愛は重要なスパイスだったはずだ。

そんな大切なことに年頃になっても気づかずにいたなんて、ハルルは自分のダメダメぶりに呆れて思わず苦笑した。

「ハルル、今、君から不穏なワードが聞こえてきた気がするのは気のせいかな?」

苦笑いを隠すためにうつむいていた顔を上げると、いつの間にか目の前に美しいイケメン、いや、ハルルの兄ミシェルが胡散臭い綺麗な笑顔を浮かべて立っていた。

ついさっきまで、ミシェルは2階の渡り廊下にいたように思うのだが、いつの間に瞬間移動して来たのだろうか?

兄の潜在能力の高さには毎度驚かされる。

「ミシュ。不穏なワードなんて私呟かないわよ」

あんなに離れていたのだから聞こえていたはずはないと高を括っていれば、

「恋愛要素が足りないとか言ってたよね?まさか、僕の知らないところで勝手に恋人を作ろうとか思ってはいないよね?」

と、ミシェルが威圧的な笑顔で顔を近づけてきた。

「ま、まさか。私は年下好みではないし、私より年上の子供なんてミシュしかいないじゃない。だからこの島を出ない限り私には恋愛なんてできないわ」

ハルルが笑いながら否定すると、何故かミシェルが悲しそうに顔をしかめる。

そう、ミシェルは未だに超がつくシスコンなのだ。

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