生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「でも、ミシュは違うでしょ?同じ年のメリルも、少し離れているけど年下のエミリアだってミシュを慕っているわ」

流石に現在8歳のエミリアでは17歳のミシュの恋愛対象としては無理があるかもしれないが、大人になってからの9歳差なんて前世では普通だったから将来的には良い条件かもしれない。

「メリルにはマイケルがいるだろう?それに僕だってロリコンではないからエミリアはさすがに無理だよ」

確かにマイケルは2歳年上のメリルを慕っている。それも将来メリルが経営する旅館を自分が建てたいと思うくらいに。

しかしハルルの見立てでは、メリルはミシュのことが好きだと読んでいる。

なぜなら、メリルはミシュと目が合うと真っ赤な顔をしてすぐに目をそらしてしまうし、途端に口数が少なくなるからだ。

大人っぽいメリルが柄にもなく照れている姿は年下のハルルが見てもとても初々しくて可愛らしい。

"あれは恋だな“

と、ハルルは顎に手をやり一人納得していたのだが、

「邪推するのは勝手だけど事実無根な訴えは情報操作に値するよ?それに都合が悪くなるとうまいこと話をすり替えるのはハルルの悪い癖だね」

ハルルとミシェルの鼻先をすり合わせ、唇がくっつきそうなほど顔を寄せるのはミシェルの怒った時の癖だ。

“いや、これって癖なのか?“

15年見慣れたイケメン、たとえそれが兄とはいえ、彼氏いない歴25年だった前世の記憶持ちのハルルであるからなのか、イケメン耐性がないのだから勘弁してほしい。

不覚にも実の兄にときめいてしまう不埒な妹の複雑な心境もわかって欲しい、と切実に思う。

”犬”好きのミシェルは、カノンよりもハルルにベッタリのシスコンだった。

ハルルは背中まで伸びたゆるふわ癖毛ブラウンヘアをサイドを三編みにしてハーフアップにしている。

ポメラニアン似と言われたハルルは、子犬の可愛らしさをそのままに、更なる進化を遂げている。

158cmと小柄な体型だが、出るところは出て腰もくびれた女らしい体型。

どちらかというとシベリアンハスキー系で美しく引き締まっているカッコイイ系のミシェルやカノンとは違い、ハルルは万人に親しまれやすい庶民的な愛されキャラだった。

常にハルルに張り付き、周囲を威嚇するミシェルは、さながら我が子を溺愛する母犬のようだとハルルは思っていた。

兄の溺愛は嬉しいが、前世のハルルの2次元ファンタジー情報によれば18歳の兄はそろそろ結婚適齢期。

ミシェルは、貴重な彼のアオハルティーンネイジャー時代をハルルの夢実現のために捧げてくれていたのだ。

そんな哀れで献身的な兄には是非とも幸せになって欲しいし、その権利がある。

それはハルルの本心でもあり、叶えたい夢の一つでもある。

兄のことは大好きだ。

何よりイチ推しドストライクイケメン。

ハルルの理想を具現化したとしか思えない奇跡の存在。

いくらハルルが、自分たちは似ていないし血の繋がりはないのではないか、と淡い期待を抱いたところで、これまで誰もそれを否定はしてくれたことはないので単なる妄想でしかない。

ハルルは、大好きな家族の幸せの邪魔をしたくはない。

それならば、いつまでも兄の幸せを願う理想の妹であり続けたいと。

< 21 / 88 >

この作品をシェア

pagetop