生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
ハルルが前世を思い出した3歳当時、スチュアート邸宅は、前世でいう2階建ての4LDKサイズだったように思う。

しかし、12年たった今、増改築を繰り返した屋敷(そう呼ぶにふさわしい)は、いつの間にか10LDK+バス3+トイレ4までに大きくなっていた。

両親それぞれの部屋と夫婦の寝室、3兄妹の部屋を足して6部屋は理解出来る。

しかし、お客も来ないのに、なぜ4部屋も余分に作るのかハルルは長いこと不思議に思っていたがようやく合点がいった。

将来的に今回のように、家令的な立場の人物を数名雇うつもりでいたのだろう。

一階の左右両端に位置する部屋が、それぞれハウルとナンシーの部屋になったようだ。

母に聞いたところによると、ハウルは21歳、ナンシーは20歳ということであった。

いくら家令的な立場で同僚とはいえ、年頃の男女を隣り合わせに住まわせるわけにはいかないという配慮だそうだ。

ケモミミ狼とニャンコのロマンスなんてハルルにとってはご褒美でしかないのだけれど、人の家でいちゃつくのはご法度だものね。

一方、ミシェルとハルル、カノンの部屋は、2階の南側の部屋。

ミシェル、カノン、ハルルの順に部屋が並んでいる。

この並びは、ミシェルがハルルの部屋との間の仕切りを外さないようにとの配慮からだったが、部屋に入り浸るのであまり効果はない。

各部屋8畳ぐらいの間取り。

前世、6畳1間にヲタクニートグッズを所狭しと配置して暮らしていたハルルにとっては、十分広くて快適な場所だった。

ハルルの希望で、自室には簡単な調理可能なキッチンも設置してもらっていた。

日本食が恋しくなったら自作するつもりだったからだ。

文明開化もしてもいないようなこの島国なのに、なぜキッチン、バス・トイレが整備されているのかは、それは未だ謎である。

聞くところによると、DIYマイケルの父親トニーが島のライフライン整備を一手に引き受けているとか。

大人は誰も詳しいことを教えてはくれないが、おそらくトニー家の出身国は先進国なのだろう。

それとも、トニーはハルルのような前世チート持ちなのか・・・。

いずれにしろ、ポッチャントイレ(汲取式便所)は遠慮したかったので素直にありがたかった。

一階にお風呂とトイレが2つずつあり、女性男性専用が分かれているため、うっかり他人のハウルと脱衣場で鉢合わせてキャッ♡なんてことはない安心設計だ。

つくづく先を見越した計画的な造りとしか思えない。

スチュアート家も謎が多かった。

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