生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
本日、父ロゼレムと兄ミシェルは、島のはずれにある武闘家ショーン宅に用事があるため留守の予定だ。

母マリリンと妹カノンは、料理家メリルの家でお料理教室を兼ねた食事会(ちなみにナンシーはカノンの護衛なので強制参加だ)。

ハルルも誘われたのだが、アオハル学園で現在取り組んでいる発明に没頭したいので丁重にお断りした。

「いいかい?ハルル。絶対に裏の森の施設以外に一人で出掛けてはいけないよ?」

「そうだよ。必ずハウルを護衛につけること」

今日も今日とて、相も変わらずロゼレムとミシェルの過保護がひどい。

「わかってます。気をつけていってらっしゃ~い」

「その軽い感じがいまいち信用ならないんだけど・・・ハウルよろしく頼む」

「わかった」

ゾロゾロと屋敷を出るハルル以外のスチュアートファミリー。

笑顔のハルルとそれに並ぶ真顔のハウルを見て、悔しそうにミシェルが呟いた。

「毎度のことだけど、ハウルと立場を交代して僕がハルルと留守番したいくらいだ」

「そんな我儘言わないの。ほら、みんなが待ってるわ。ミシェルの帰りを首を長くして待ってるから気をつけて行ってきてね」

幼い頃はミシュと愛称で呼ばされていたが、ハウルを呼び捨て事件?からは、兄のこともミシェルとファーストネームで呼ぶように強要させられていた。

半日にも満たない一時的な別れを、まるで今生の別れのように悲しむミシェル。

ハルルは苦笑しながらミシェルとハグを交わした。

ハルルの額にキスを落とすミシェルは、いまだに兄妹としての距離を見誤っているとしか思えないのだが、さすがに18年も経てばハルルもこの距離には慣れてしまった。

何せ、この世界(島国)には適切な兄妹の距離を教えてくれる見本がいない。

真剣にたしなめたところで無駄な努力であることを、ハルルはようやく理解していた。

比較対象がいないのだから、開き直ってイケメン兄との期間限定イチャラブを満喫するが勝ち。

ハグを解いて、愛馬にまたがり遠ざかって行く父と兄に手を振りながら、ハルルはニコニコと笑顔で見送るのだった。

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