生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
しかし、周囲の警戒をあざ笑うかのように、満を持して起こるのが事件のテンプレなのである。

アオハル学園に到着したハルルは、早々にハウルと離れることになってしまう。

「ねえ、ハルル、ハウル。うちのメリー(子猫)が木の上に登ってしまって、それを助けようとしたサイファも木から降りられなくなって困ってるの。助けてくれない?」

ハルルとハウルがアオハル学園に着いて早々、走ってきた双子の片割れエミリアに捕まった。

その時、学園には、二人の他には誰もおらず、更に双子の両親も仕事で家には不在だった。

木の上のサイファを助けられるのは、現状、ハルルかハウルしかいない。

「私は大丈夫だからハウル、行ってあげて」

木登りは得意ではないハルルは即決でハウルに頼んだ。

「いや、しかし・・・」

つい先程、俺から離れるな、発言をしたハウルだ。

自分から離れることに抵抗があるのは当然だ。

「ここは屋敷の裏の施設内だし、私が一人でも過ごせる場所に認定されているわ。鍵も厳重にかけておくから、お願い、早く行ってあげて」

「お願い、ハウル、メリーとサイファが落ちちゃうよ」

高圧的なハルルと、涙目のエミリアに迫られて、ハウルは決断した。

「すぐ戻るから一人でどこにも行くなよ?」

過保護、過干渉のミシェルの癖がハウルにも感染っているのかもしれない。

「わかりました」

走り去るハウルとエミリアを見送るハルルは、大丈夫と言って手を振った。

事件は、このような手薄な状況を見越していたかのように起こるのである。

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