生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「えっと・・・もしかして、さっきの場所が転移魔法陣の置かれた場所だったのですか?」
「ええ、ハルル様には教えられていなかったのですね。随分と他人行儀な・・・」
確かにハルルにだけ隠されていることは多い。
反論できずに、ハルルは唇を噛んだが気を取り直して辺りを見渡した。
「それよりも、ここはどこですか?随分と人が多いですね」
前世の渋谷センター街とまでは行かないが、それなりの人出だ。
しかも、こんな街の真ん中に堂々と大人2名が転移してきても誰も驚いていないのも不気味だ。
前世、都会に住む人々も、他人に興味のない人が多かったが、こんなにも視線が合わないのは不自然に感じる。
もしかしたら存在を消すような魔法がかけられているのだろうか?
「ここは王都。あなたの住む島も、本来は王族の領地なのです」
ハルルは、モノクル腹黒策士のもったりとした言葉に目を見開いた。
ここは王都ではないか、と推測はしていたものの、あの島国が王族の領地であるとは考えも及ばなかった。
”ということは、もしかして・・・”
「ロゼレムスチュアート様は、現アンデルビオン国国王、メンデル様の王弟でございます」
モノクル腹黒策士が出した答えは、ハルルの予想の数段上をいくものだった。
「従兄弟とか元宰相とかその程度のランクだと思ってたのに・・・王弟?」
ブツブツと呟くハルルは、身分差のない平和な世界である島国の、安定した均衡が崩れ去りそうに感じて脳内プチパニックに陥っていた。
「本当に何も知らされていないのですね。益々あなたがあの方々の”阿吽”の片割れである説が有力になりましたぞ」
「あうん?」
あうん、とは前世の”阿吽の呼吸”という言葉に使われる、あの阿吽だろうか?
ハルルもその言葉の語源をよく知っているわけではないが、それ以外の”あうん”は知り得ないので、この世界にも同じ言葉が存在するのか?と首を傾げた。
「いえ、何もご存知ないようなら結構です」
言いっぱなしで”結構”とか、何が結構なのかさっぱりわからないではないか?
しかし、いくらハルルがルグランの態度を不満に思っていても、この広くて人の多い王都で、ハルルが彼を煙に巻いて一人逃げ切ることは不可能に近い。
それならば大人しく敵陣に赴いて、出来る限り情報収集に徹し、隙を見て逃げるのが賢明に思えた。
何よりあのスーパーシスコンミシェルが、この状況を予測していなかったわけもなく、ハルルが誘拐されて黙っているはずはないのだ。
親馬鹿のロゼレムも然り。
愛され過ぎて育った今世のハルルは、妙に度胸が座っていた。
それほどに彼らの愛情は過多で、ハルルの信頼に足るものであったのである。
「ええ、ハルル様には教えられていなかったのですね。随分と他人行儀な・・・」
確かにハルルにだけ隠されていることは多い。
反論できずに、ハルルは唇を噛んだが気を取り直して辺りを見渡した。
「それよりも、ここはどこですか?随分と人が多いですね」
前世の渋谷センター街とまでは行かないが、それなりの人出だ。
しかも、こんな街の真ん中に堂々と大人2名が転移してきても誰も驚いていないのも不気味だ。
前世、都会に住む人々も、他人に興味のない人が多かったが、こんなにも視線が合わないのは不自然に感じる。
もしかしたら存在を消すような魔法がかけられているのだろうか?
「ここは王都。あなたの住む島も、本来は王族の領地なのです」
ハルルは、モノクル腹黒策士のもったりとした言葉に目を見開いた。
ここは王都ではないか、と推測はしていたものの、あの島国が王族の領地であるとは考えも及ばなかった。
”ということは、もしかして・・・”
「ロゼレムスチュアート様は、現アンデルビオン国国王、メンデル様の王弟でございます」
モノクル腹黒策士が出した答えは、ハルルの予想の数段上をいくものだった。
「従兄弟とか元宰相とかその程度のランクだと思ってたのに・・・王弟?」
ブツブツと呟くハルルは、身分差のない平和な世界である島国の、安定した均衡が崩れ去りそうに感じて脳内プチパニックに陥っていた。
「本当に何も知らされていないのですね。益々あなたがあの方々の”阿吽”の片割れである説が有力になりましたぞ」
「あうん?」
あうん、とは前世の”阿吽の呼吸”という言葉に使われる、あの阿吽だろうか?
ハルルもその言葉の語源をよく知っているわけではないが、それ以外の”あうん”は知り得ないので、この世界にも同じ言葉が存在するのか?と首を傾げた。
「いえ、何もご存知ないようなら結構です」
言いっぱなしで”結構”とか、何が結構なのかさっぱりわからないではないか?
しかし、いくらハルルがルグランの態度を不満に思っていても、この広くて人の多い王都で、ハルルが彼を煙に巻いて一人逃げ切ることは不可能に近い。
それならば大人しく敵陣に赴いて、出来る限り情報収集に徹し、隙を見て逃げるのが賢明に思えた。
何よりあのスーパーシスコンミシェルが、この状況を予測していなかったわけもなく、ハルルが誘拐されて黙っているはずはないのだ。
親馬鹿のロゼレムも然り。
愛され過ぎて育った今世のハルルは、妙に度胸が座っていた。
それほどに彼らの愛情は過多で、ハルルの信頼に足るものであったのである。