生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「さて、王城や王都のホテル、ハルト様の私邸ではあっという間に見つかってしまいますからね。我々とは縁もゆかりもない方から譲り受けたお屋敷に案内します。これで少しは時間が稼げると良いのですが」

久方ぶり?のハンバーガーを堪能したハルルは、再び転移魔法陣を使われて、王都からかなり離れているらしい知らない屋敷に連れて行かれた。

今度は転移酔いしたのか、ハルルは再び倦怠感に襲われた。

「おや、おや、今度は食べ過ぎですか?ハルル様は少し加減というものを学ばなければなりませんね」

確かにハンバーガーとポテト、ドリンクのセットを2つずつ摂取したことは認める。

だが、これは決して食べすぎの症状ではない。

度重なる転移と慣れない環境に疲れたのか、ハルルは言い返す元気もなく黙り込んでいた。

「反論もしないとは・・・。本当にお疲れのようですね。本日はハルト様にお会いする予定はありません。束の間ですが、貴女様にご用意したお部屋でお寛ぎ下さい」

ルグランに案内された部屋は、シンプルなビジネスホテルのダブルルームといった感じの部屋だった。

島の自室とは全く違って馴染めそうにない古びたカビ臭い部屋。

とてもVIP対応とは言い難い。

しかし、今は逃げ出すことも、文句を言う元気もなく、逃げるは敗北へのレクイエムとなるだろう。

今世、初めて経験する体調不良により、ハルルは厨二病的なワードを脳内で再生する程度に、メンタル落ちさせられていた。

とりあえず、ハルト王子とやらに会うまでは束の間の執行猶予がついた。

ハルルがいったい何の罪で捕えられているのかは相変わらず不明のままだが、とりあえずは体力を温存するしかノーウェイ。

ハルルは与えられたベッドに横になり目を閉じた。

「ミシェルとお父様、それにハウルもきっと心配しまくってるよね。迂闊にも誘拐されるなんてお間抜け。今はそれよりも・・・あ〜、しんどい」

ハルルは、過保護な父と兄、護衛騎士の言いつけを守れなかったことを心で詫びながら、ゆっくりと夢の世界に落ちて行くのだった。
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