生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「ミシェル、急にどうした?また気分がすぐれないのか?・・・とりあえずどこかで休むしかないな」

ハルルがハンバーガーを食していた頃、ミシェルとハウルは、ルグランがハルルを囲いそうな場所を虱潰しに探していたのだが、数時間が経つと、ハルルとの距離が更に広がったのだろう。

再度、ミシェルの体調が悪くなり始めていた。

ミシェルの儚げな美しい顔が苦痛に歪む。

ハルルが側にいたなら

『不謹慎だけど儚さが尊い!』

と叫んでいただろうが、当の本人も辺境の地で苦痛に苛まれている現状であり、それどころではないと思われる。

「あそこの飲食店に入るか?せめて何か飲んで体をやすめないと」

「いや、この不具合は僕がハルルと離れたために起こっているものなんだ。やすんでいれば良くなるというものではない。早くハルルを見つけ出すことが先決だ」

痛ましいミシェルの姿を見て、ハウルの精悍な顔が歪む。

ハルルの護衛は任せろ、などと大見得を張った矢先にまんまと誘拐されるなんて。

ハウルは、妹を愛してやまないミシェルに対する申し訳なさと、ハルル自身の身を案ずる焦燥感とで身を削られるような思いをしていた。

「・・・ああ、ハルルも僕と同じようにこの痛みを感じているのだろうか?可哀想だが初めての痛みを共有できるのは少し嬉しいな」

そんなハウルの想いは、ハウルのヤンデレ発言で全てが台無しになった。

しかし、ミシェルがこうして緊張感のない言葉を発することで、ハルルが見つからないことへの不安を掻き消そうといていることにもハウルは気付いていたから何も言わなかった。

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