生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
“どれ位寝ていたのだろうか?“

カーテンをそっと開けると外はまだ明るかった。

太陽の高さからすると、おそらく数時間寝ていた、といったところか?

気だるかった体調もすっかり戻っている。

流石、病知らずの健康優良児(女?)だと自画自賛してもよいだろう。

いくら体調不良で食べ過ぎ?だったからとはいえ、軟禁中で捕虜の身、しかもこんなカビ臭いところで、良く平気で眠れたもんだ、とハルルは自嘲した。

前世では比較的暗くて狭い、非常に散らかったところで寝ていたので、その経験が功を奏した?のかもしれない。

それにしても、この屋敷にはハルルが連れてこられた時から人の気配が全くしないのだが、本当だろうか?

見張りや護衛などを置かなくても、ルグランレベルの魔術士になれば、この屋敷全体に結界を張ったり目隠しの魔法でもかけられるのかもしれない。

それにもしかしたら、あの細腕で剣の腕に自信があるのかも。

“だとしたらモノクル執事とケモミミ騎士の熱い戦いが見られる?”

ハルルは束の間の自由とやらを、得意の”腐”の妄想で無駄に消費する。

かと言って、ノンイケメンである腹黒ルグランが妄想対象では長くは続かず、かと言ってそれ以外に何もすることがない現状。

ハルルは早々に飽きてしまうのだった。

『とりあえずここはどこかを把握しよう』と、ハルルは再びカーテンの隙間から外を眺めた。

すると、森から街に続くと思われる道の向こうに二人の人影が見えるではないか。

「・・・!ミシェル、ハウル!」

ハルルは、興奮のあまり窓を叩いて彼らに自分の存在を知らせようと思ったが、そのことが、かえってルグランに彼らの存在を知らしめることになるかもしれない、と思い留まった。

流石、スーパーシスコンの天才ミシェル。

こんな田舎の軟禁城まで探し当てるなんて、もしかしたらハルル探知機でもついているのだろうか?と疑問を持った。

ハルルは、ミシェルに肌身放さず付けて置くことを約束させられた左手首のブレスレットをジッと見つめる。

「・・・まさかね」

”これがそれでは、まるで前世のストーカーではないか?“

自宅とアオハル学園を往復するだけのハルルにGPS機能もどき付きの魔道具は必要ない。

それなのに居場所を常に監視されていたとしたら・・・誘拐されることを見越していたのか・・・?

ハルルは、怖くなってきたので、あまりこのことについて追求するのはやめようと、心に決めた。

いずれにしても、ミシェルの『僕はハルルがどこに行っても必ず探し出す』というヤンデレストーカーも真っ青な宣言が守られ、こうしてハルルを探し出した。

流石、有言実行の男である。

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