生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「町で聞いたナメタの森にあるヤナックの別荘はこの辺りのはずだ」

ハウルはようやく辿り着いたナメタの森の外れに、"あるべき"別荘が見当たらずに呆然としていた。

「考えても見ろ。あのルグランのことだ。屋敷に認識阻害の魔法でもかけているんだろう。ついでに結界も張られているはずだ」

「なるほど」

ハウルは認識阻害を解除する魔法陣を空中に描き、

「リリース(解除)」

と呟いた。

すると目の前に古びた屋敷が現れた。

「屋敷全体にも結界が張られているな」

ハウルが悩ましげに眉をひそめる一方で、何故か余裕なミシェル。

「大丈夫だ。これだけ近くにいれば、僕はハルルの元に転移できる」

「えっ?ちょ、ちょっと待て」

『我が阿形、ハルルの元へ』

そう呟くと、一瞬にしてミシェルの体がハウルの目の前から消えた。

置いてけぼりを食らったハウルは、自力で屋敷に張られた結界を解除しなければハルルの元へは移動できない。

「ルグランの結界はややこしいんだよな」

ケモ耳の根元を片手で掻きながら、ブツブツとハウルは文句を垂れた。

「ま、やるしかねえな。ルグランに一矢報いるためにも」

すぐに気を取り直すと、ハウルは結界解除の魔法陣を空中に絵描き、屋敷への侵入を試み始めるのだった。
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