生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「ね、ねえ、やめて、ミシェル・・・この距離は、妹の、ん・・・距離じゃないし・・・それに、私の髪、どうして金色になって、るの?」

繰り返されるキスの合間に、ハルルは息も絶え絶えに、ミシェルに尋ねる。

「ああ・・・ハルル。君は昨夜、僕の番(つがい)になったんだ。僕の番の髪の色は金色、瞳の色は蒼碧の対をなすもの。ほら、その証拠にハルルの瞳の色は榛色になっているよ」

愛しそうにハルルの髪を撫でながら、ミシェルがハルルの瞳を覗き込んでくる。

「えっ?うそ?」

「見てみる?ほら」

ミシェルはベッドのヘッドボードに備え付けられた引き出しから手鏡を出すと、ハルルに渡した。

「あ、本当に変わってる・・・」

幼く見えていたハルルの可愛らしさはそのままに、自分でも照れるような妖艶な色気をプラスした新しい顔?は、ブラウンだった瞳の色が榛色に変化し、全体的に大人っぽい雰囲気になっていた。

髪もブラウンからシルバー・ゴールドに。

ふわふわした質感とウェーブは変わらないが、肩甲骨までの長さだった髪は更に腰まで伸びていた。

そして、一番の違和感。

それは括れた細い腰に似合わない豊満な胸元。

18歳にしては幼い顔つきではあったが、胸はそれなりにあった。

しかし、以前に増して威力を増したバストは、ミシェルにギュッと抱きしめられ、彼の胸元で悩ましげに押しつぶされ存在を強調している。

「誰・・・?コレ・・・」

しかし、可憐な美少女から妖艶美女に変身した嬉しさや恥ずかしさよりも、困惑のほうが先に立つ。

確かにベースはハルルの良く知る”ハルル”だ。

だからといって、一夜にしてこの変化は違和感があり過ぎるのだ。

ハルルは、もしかしてミシェルが彼の好みの姿に魔法で変身させたのではないか?と疑いたくなった。

ジト目で見つめると、

「フフ、違和感がある?昨日までのハルルも可愛かったけど、神力で成長が抑えられていたからね。今の姿がハルル本来の18歳の姿だ」

と、ミシェルが笑った。

“神力?本来の姿?”

確かに同時期の前世での波瑠は、今世のハルルよりも身長は高かったと思う。

といっても、このような“お色気我儘ボディ”ではなかったのだが・・・。

何せ、運動皆無の引きこもりニート。

ジャージやスウェットが似合う波瑠は、自分の容姿に頓着がなかったのである。



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