生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜

明かされた真実

「そこまでよ!ミシェル」

まるで18禁乙女ゲームのような展開になりつつあった事態を絶妙なタイミングで堰き止めたのは、クール&ビューティー第2号、そう、スチュアート家次女・カノン、その人であった。

ミシェル激似の容姿で、常に冷静沈着クールキャラに育ったカノンは、いつもミシェルのハルルへの過剰な接触(貞操の危機)を防いでくれる頼もしい妹だ。

ミシェルとハルルの自室に挟まれた位置にある部屋に住まうカノンは、ハルルの部屋に必要以上に居座ろうとするミシェルをとても良いタイミングで邪魔をする。

まるでハルルの部屋に盗聴器もしくは監視カメラでも設置しているのではないか、と思うほど絶妙なタイミングである。

「・・・、またカノンか。ハルルと僕は晴れて番になったんだ。もうカノンに邪魔される謂れはないよね?」

「何を言ってるの?どうせミシェルはハルルに十分な説明をしていないのでしょう?急に『僕達は兄妹ではありません、さあ、遠慮なく僕の愛を受け取って』なんて言われていきなりハルルが納得するはずないじゃないの!」

チラリとハルルを見るカノンの目は優しいが、ミシェルに向ける発言は厳しい。

ハルルの頭に顔を擦り寄せながら抱きしめるミシェルのことを、カノンは器用に睨むのだが、ハルルもまとめて怒られているようで恐ろしい。

「そうよね?ハルル?」

カノンに念を押されて、ハルルは激しく縦に首肯する。

何せカノンはミシェルの百倍怖いのだ。

とても年下とは思えない迫力を持っている。

「ほら、ハルルが目を覚ましたのなら行くわよ。みんなが待ってるの」

かなり早朝だと思っていたが、実はもう昼なのか?とハルルはギョッとしたが、やはり時計は7時をさしており、同時に、スチュアート家の面々が寝ずにハルルを心配していたことを知り申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

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