生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜

「八重、さん・・・？」

ハルルの前世である“波瑠“を娘のように可愛がってくれた唯一の女性。

ハルルは

“そんな幸せなことあるはずない“

と疑いつつも、ささやかな期待を抱かずにはいられなかった。

「波瑠ちゃん、やっと会えた」

女性の言葉で、疑いは確信に変わる。

あの頃老人だった八重さんは、ハルルと同じ世界に転生？し、今や美しく雅な40代の女性になっていた。

優しかった眼差しはそのままに、気品あふれるその姿は王族の品格を示しながらも当時の面影を残している。

「彼女がハルルの実母、ヤエルだよ」

微笑むロゼレムの言葉に、三度目の衝撃が走る。

なんと！

もう一度会いたいと思っていた八重さんがヤエル第7王妃で、しかもハルルの実母？こんな偶然・・・いや都合のいい展開があっていいのだろうか。

感動のあまり、ハルルはミシェルの腕から飛び出し、思い切り“八重さん“いや、ヤエル王妃の胸に飛び込んでいた。

「わかっていた反応とはいえ、やっぱり悔しいな」

逃げていったぬくもりに、ミシェルが思わず呟いた言葉は、胸いっぱいのハルルの耳にはもちろん聞こえていなかった。

「親友の娘とはいえ、私も複雑な思いよ。だけどヤエルがようやく実母だと名乗れたことは本当に嬉しく思うわ。良かったわね。ヤエル」

抱き合う母娘に近づき、二人を暖かく包み込むマリリンは、本当に嬉しそうに笑った。

「八重さん、今までどこにいたの？・・・って愚問だったね。王宮に決まってるもんね。八重さんは第7王妃なのよね？私は本当にお父様と八重さんの娘なの？それならどうしてお父様と結婚せずに国王の第7王妃になんかになってるの？そんな色ボケ男の言いなりになってるなんて信じられないんだけど・・・それに」

いつになく饒舌なハルルに、スチュアート家の面々＆レザルスは驚いていた。

「まあまあ、波瑠ちゃんたら。相変わらずのマシンガントーク健在ね。長い話になるからいっぺんには説明できないの。落ち着いてゆっくり聞いてちょうだい」

八重さんに促され、ハルルはリビングのソファに座った。

右側には八重さん、もといヤエル王妃が座った。

もちろん左側にはミシェルが陣取るが、これはデフォなので仕方ないと誰もが諦めている。

その他、ロゼレム、マリリン、カノン、レザルスは各々空いているソファに座った。

そうして、前世からの因縁とも思える壮大な物語がヤエル王妃の口から語られるのであった。