生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
そうした状況の中、メンデルの実子の間で王位継承権争いが生じるのは必然である。

メンデルとマリリンの間に、第1王子のミシェルが誕生した年、ミシェル以外にも複数の王子が誕生した。

そのため、王室には様々な陰謀が渦巻くようになった。

その中でもメンデル国王の寵愛を最も多く享受されていたとされる第3王妃メルトは、マリリンを敵視して攻撃する勢力軍の筆頭であった。

彼女とその取り巻きは、マリリンとミシェルを亡きものとし、メルトの実子であるハルトを王位につかせようと暗躍し始めたのだ。

ロゼレムは、異父妹である第一王妃マリリンと甥ミシェルが毒殺されそうになったことをきっかけに、早々に王位継承権争いから共に退くこと心に決めた。

自分と異父妹親子の王位継承権を完全に放棄したあとは、なんの利益ももたらさないと放置されていた無人島、スチュアート辺境の領地を開拓し、辺境伯の爵位を賜ることで謀反の意思がないことを示した。

色ボケとなり、若い側妃達に入れあげていたメンデルは、初恋のマリリンにもミシェルにもすでに興味を無くしており、二つ返事で判を押した。

王の臣下に下った元王族は、彼らが必要とする人材を数人ではあるが自由に選別して領内に連れて行くことができる。

愚かなメンデル国王に人を見る目はない。

そのため、ロゼレムが優秀な家臣選びに悩むことはなかった。

ロゼレムは忠実な臣下を8名選び、彼らの家族と自身の恋人であったヤエルを連れてスチュアート島に移住した。

もちろんマリリンとミシェルも一緒である。

しかし、未開の地に逃げたからといってはい安心、とは一概に言えない。

ロゼレムの母モリーとその夫の例があるからだ。

常識の通じない、粘着気質のアルビオン王家に、今後、何がきっかけで目をつけられて攻撃されるかわからない。

ロゼレムは島に移住するにあたって様々な策を練る。

その一つが阿吽の儀式だったのである。

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