生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「・・・えっと、レザルスはなんちゃって執事じゃなくて竜人だったのね」

「いえ、“正確には竜王の護衛騎士であり竜人だったレザルス“にございます」

ポツリと呟いたハルルの独語に、耳が遠い?はずの老人レザルスが素早く反応したことに驚く。

解せぬ。

レザルスは、というと、現在、サイファとエミリアという双子とその両親と暮らしていた。

しかし、竜人の“長寿“という特権まで捨てて番った“ララ様“という存在が、この島に見当たらないのはどういう訳だろうか?

「ララ様は・・・?」

「ララは現在巣篭もり中でございます。早いものでかれこれ18年になりますか」

“18年?!"

どおりで顔を合わせないはずだ・・・

って違う!

人間のララ様が巣ごもりって何って話でしょ。

「竜人の血を継ぐ者は竜人と番うと寿命が長くなるんだよ。現在のララは人間で言うともうすぐ28歳だ。竜人はこちらの10年で心身が1歳年をとるんだ。地球とは逆パターンだな。ララがレザルスと結婚して38年だから、3歳年をとった計算になるかな。そしてこちらでいう5年前に二人の間には竜形の子が生まれた。ララは島の洞窟の方に籠もって絶賛子育て中というわけだ。息子はまだ人で言うと1歳に満たないから目が離せない」

ハルルの疑問が伝わったのか、ロゼレムがニコニコと答える。

「えっ?じゃあどうしてレザルスはおじいさんになってるの?ララ様が年を取らないのにレザルスだけが年を取るなんて話が合わないんじゃ・・・」

ハルルの疑問にレザルスが笑顔で答える。

「ご安心くださいませ。私のこの姿は擬態でございます。決して疑われることなく人間界で生き残るための策にございます。本来の姿はララと大して変わらぬこの姿にございます」

そう言うと、瞬く間にレザルスは若き本来の姿に戻った。

青年とも中年ともとれる男性。

「レザルス、いったい今は何歳なの?」

「こちらに来て人歴で言う38年が経ちました。我々はこちらの10年で人間としての年齢を1歳重ねますから、ひと年齢でいうと39歳、アラフォーでごさいますね」

なんと、イケオジロゼレムパパ44歳よりも若かった!!

ニヤリとニヒルに笑うレザルスだが、イケオジのロゼレムとは違っていたって普通の容姿である。

そういえば、いつも気になっていたあの8の字に生やしたなんとも言えない鼻髭‥あれは竜の髭だったのか?

そうなのか?・・・実に微妙。

ファンタジーにありがちな竜人イケメン説をぶち壊すレザルス。

あえて、オタクだった波瑠の食指は動かなかったと言っておきたい。

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