生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「辛いことを思い出させて申し訳なく思うけど、あの我儘で自己中心的な両親のもとに波瑠ちゃんが生まれたのには理由があったのよ」

「理由?」

ハルルはミシェルに頭や肩を撫でられ、その胸に抱きとめられた状態のまま怪訝な顔をした。

「地球の知識を保持したままサギュアに召喚されるには、地球への執着があってはいけないの」

確かに波瑠は以前の地球での生活に執着は残していない。

いや、オタク文化への思い入れが残っていないのかと言われると正直迷うのだが・・・。

あれはあれで二次元なそれなわけで・・・

一瞬戸惑いを見せたハルルを、抱きしめ見つめ続けていたミシェルが見逃すわけはなかった。

「おや?ハルルは何かあちらの世界に心残りがあるのかな?あの冷たくて厳しいだけの世界に」

「いえ、そんな滅相もない」

「アオハル青春(せいしゅん)ワンダーランド」

ギク、ギク!!

「こだわりがないわけはないよね、波瑠の渾身の作品だもんね」

恐る恐る顔をあげると端正なミシェルの顔面がハルルを見つめて微笑んでいる。

「ミシュ スチュワート ロングトーン」

「いやぁ!!恥ずかしいからその名を言わないでぇ!」

ハルルは思わず顔を覆って俯いてしまう。

その名はハルル、いや、波瑠が封印してきた過去の産物。

波瑠という前世の執着物、そのものの名前であったのだから。


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