生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜

想いの正体

「そう言えば、カノンは・・・?カノンもメンデル国王の子なの?カノンは私が生まれた後にできた子なのでしょう?まさか、無理やり・・・?」

少し冷静になってきたハルルは、これまでの話の中にカノンが登場していないことに気がついた。

カノンはミシェルにもマリリンにも瓜二つである。

3人の親子関係は間違いないだろうが、王位継承権を放棄し、メンデル国王と離縁した後もメンデル国王と大人の関係が続くほど、マリリンが彼を愛していたとは思えない。

「カノンは間違いなく私の子よ。父親はメンデル国王ではないけど」

マリリンの言葉に、ハルルはホッとしたものの、それでは誰がカノンの父親なのかという疑問が脳裏に浮かんだ。

「父親は、メンデル国王の義母弟で、私の護衛でもあったジョンという男性。ミシェルの父親も実は彼なの」

昼メロ展開、いや韓流ドラマか!?的な流れに、ハルルは目眩を覚えた。

「ええ?!それって大丈夫だったの?マリリンお義母様は第一王妃で、メンデル国王の初恋の人であったのは間違いないのでしょう?」

「そうね。だから閨の際には、ヤエルに頼んで幻影魔法を駆使したわ。あいつ私達が用意したお人形を大事そうに抱きしめてたわね」

そもそも、浮気性のメンデル国王。

いくら初恋がマリリンであったとはいっても、なかなか打ち解けようとしないマリリンに不満を持ち、すでに御しやすい愛妾を囲っていた。

だから初夜にはお酒で酔わせ、幻影を見せて眠らせてしまえば、簡単に事を成し遂げたと勘違いしてくれたのだそうだ。

メンデル国王は何せ飽きっぽくて惚れっぽい。

その後も閨の訪れはあったものの、同じ手順でメンデル国王を酔い潰しているうちに『マリリンはすでに自分に落ちた』と満足し、興味はすぐに他に移ったのだという。

「伯父様との関係、よくバレなかったね」

「メンデル国王は弟達から王位継承権を早々に取り上げ、護衛や臣下に格下げして見下していたの。王位継承権さえ争わなければ、他の兄妹が何しようが関係ないって感じだったわ」

そもそもマリリンやロゼレムの周囲に、ヤエルという魔女がいることをメンデル国王に把握されていなかったことが幸運だった。

ジョン伯父様は、いったい何番目の王子かわからないくらいの末端に位置づけられた王子らしい。

生まれ落ちてすぐから王位継承権を剥奪され、生粋の護衛として育てられていたため、彼が幼い頃からマリリンと交流していたことや、後にマリリンの護衛に配属されようが、メンデルは一切関知していなかったのである。

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