その後のふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
「えっ、そ、そうなの? だってもう、一緒に暮らすようになって、1年だよね?」
「うん」
「わたし、てっきり……」
「たぶんね、……叔母さんに気を遣ってるんじゃないかな」
ふたりで暮らす許可をもらったとき、わたしはまだ未成年だった。
だから今まで、健全なお付き合い、ってやつを心がけてくれていたんだと思う。
お姉ちゃんの帰りを待っていたときだって、おーちゃんは最初から最後まで、真摯な姿勢でいてくれたから。
だけど……。
わたしはもう、18歳になったわけで。
自分のことは自分で責任が取れる、大人に近づいたわけで。
おーちゃんにもっと触れてもらえたら……。
おーちゃんの、——もっと深いところに触れることができたら、なにかが変わるかもしれない。
そんな予感めいた期待が、少し前から、わたしの中に存在しているんだ。
「……その一歩を進めたら、不安も解消されたりしないかなって、思ってて」
「……なるほど……」
「でも、具体的にどうしたらいいかわからないの」