その後のふたりぐらし -マトリカリア 305号室-


おーちゃんの本心を探るのは、とっても難しい。

いつも、もう少し、というところではぐらかされているような気がする。

もしかしたら、周りに気を遣っているわけでも、わたしのスピードに合わせようとしてくれているわけでもなくて。

わたしのお子ちゃま具合に、最後までする気は起きないだけだという可能性だって、残ってる。


そう考えると、なかなか勇気が出せないんだ。

ただでさえ、触れ合えば触れ合うほど、おーちゃんとの経験の差をひしひしと感じて。

付いていくだけでいっぱいいっぱいの自分が恥ずかしくなるのに。


落ちかかった気分と連動して、俯く。

そんなわたしの気持ちを引き止めるように、


「そのまま伝えるのが、正解だと思うけどな」


お姉ちゃんがハッキリと言いきった。


「愛花が今、わたしに話してくれたこと。おーちゃんにどうしてほしいかまで、全部そのままおーちゃんに伝えるの」

「え……」

「考えてみてよ。おーちゃんは、自分だけに甘えてくれて、一緒にいたいって言ってくれて、好きだってことを全身で表現してくれる愛花のことを、好きになったんだよ」

「……」


そんなに表現、してたかな……?


改めて口に出して言われると、若干の否定をしたい衝動に駆られたけれど。

今のところはグッと堪えることにした。

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