その後のふたりぐらし -マトリカリア 305号室-


そんな漠然とした思いを抱きながら、澄み渡る空を見上げる。

初夏の眩しさに、目を細めた。


——もうすぐ、高校生最後の夏がやってくる。


寂しさと、日に日に現実味を帯びていく『受験』という、二文字。


教室へと入り込んできた風が、緑の匂いとともに焦燥感を運び、……わたしの心を、ザワザワと揺らしていった。

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