その後のふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
……兄妹……。
わたしは近くのポストに手をついて、がっくしと首を垂れた。
……兄妹じゃないし……。
やらしくも、ないし……。
……ていうか、失礼だし……!
思い出したように、七瀬さんが歩いて行った方向を恨みがましく見つめる。
彼の姿は、もうとっくに見えなくなっていた。
……なんだかすごい、やな感じの人。
やっぱり、おーちゃんは正しかったんだ。
あのクッキー、絶対、あの人が選んでない……!
そう確信すると、わたしは憂さを晴らすように、305号室のポストを乱暴に開いた。
入っていた封筒を、がしっと摑む。
そして……、空っぽになった小さな箱を見つめて、はあ、と息を吐いた。
……痛いところ、突かれちゃった。
わたし、まだ妹ぽく見えるんだ……。
やっぱり、歳の差のせい……。
……本当に?
……わたしが、付き合う前と変わらず、おーちゃんに寄りかかりっぱなしなのが、傍から見ても感じ取れてしまうんじゃ……。
ザワザワと、心が揺れた。
学校でも感じた、胸の内を急かすような風が吹く。