その後のふたりぐらし -マトリカリア 305号室-


ちらりと横目で見れば、待ち伏せされていたように、ばちりと視線がぶつかった。

おーちゃんが、くすりと微笑んだ。


……電話の相手の人には、猫のことだって思われてるのに。

こんな風に触れられて、こんな風に見つめられたら、不満に感じていた気持ちが、どうでも良くなってしまう。

なぜだか、いつもくれる「可愛い」とはまた違う嬉しさだ。


……誰かに話してるっていう、状況のせいなのかな……。


その後も、おーちゃんはわたしの頭を撫で続けながら、おしゃべりを続けた。

楽しそうな笑顔から、相手の人には随分と気を許しているのが伝わってきた。

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