その後のふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
あっという間に重なった唇に、慌てて目を瞑る。
触れ合ったそこから、わたしをこじ開けて入ってくる熱に、寝起きの頭がじんわり痺れた。
たっぷりと、いたずらにわたしをかき回して、……おーちゃんは、ゆっくりと顔を離した。
とろんと眠気の残った眼差しが降り注ぐ。
わたしを見下ろす無防備な表情に、思わず喉がこくりと動いて……、そういえば、と喉が渇いていたことを思い出した。
「……おはよ」
おーちゃんが、ふっと笑った。
「おはよ……う、んっ」
返事の途中で、思わず声が上ずった。
再び動き出したおーちゃんの手を、慌てて押さえる。
……忘れてた……っ。
「ねえ、待って。……わたし、喉が」
——渇いたの。
言おうとしたのに、降ってきたキスが、それを許してくれない。
優しく唇を吸われて、音を立てて離れた。