その後のふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
「愛花ってば。聞いてる?」
「――へっ?」
美月の声に、頭の中のイメージが花火みたく、パチンと弾けた。
意識が、一気に現実へと引き戻される。
「はやく、後ろつっかえてるよっ」
「え……あ、わっ……」
いつの間にか、到着していた送迎バス。
列が進み、わたしと美月の間には、ぽっかり距離ができていた。
わたしは飛び跳ねるように動き出し、自分のせいで途切れてしまっていた列を慌てて修正した。