その後のふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
01.新しいお隣さん
液晶画面の明かりに照らされた部屋に、聞き慣れたエンディングテーマが流れ出す。
日の光に照らされて、白く輝くベッドの中で穏やかなキスを交わす男女に、わたしはぐす、と鼻を啜った。
ソファの隅に埋もれていたリモコンを探し出して、ドラマを停止する。
テーブルの上のティッシュへと手を伸ばして、涙を拭った。
しばらく余韻に浸ってから、テレビをバラエティ番組に切り替える。
賑やかな笑い声が響いた。
それに反応するように、わたしの肩にもたれていたおーちゃんの頭が、むくりと起き上がった。
ふあ、と大きな欠伸が聞こえる。
思わず笑顔を向けると、きょとんと画面を見つめている寝ぼけ顔が、ぼんやりとこちらを向いた。
「おはよ」
わたしはくすっと言った。
おーちゃんはしばらく間を置いてから、
「……おはよ……」
脱力したように、ソファに背中を預けた。