とある先輩の、歪んだ狂愛。
「先輩、たぶん誰かとまちがえ───…っ!」
気づけばベッドの上。
覆い被さる先輩に両手は掴まれて縫い付けられていた。
また、この体勢だ…。
「…なんで……死んでんだよ、…残されたほうの気持ち考えたことある…?」
「…先輩、勝手に殺さないでください」
「なにも、言ってなかったじゃん…、あの日お前はいつものように“また明日”って…俺に言ってたでしょ…」
震えてる声。
先輩じゃないくらいに、震えてて。
前髪の隙間から覗いた瞳は揺れていて。
本当にいつもの先輩はどこ行ったんだろうって。
今日、いや、さっき。
お昼のときから少しおかしかった。
「先輩、しっかりしてください。わたし…ここに居ます」
「───、……ごめん」
ハッと意識が戻ったように、腕の力は緩められた。
ただ起き上がろうとしても何故か許してくれず。
じっと見下ろしてくる、中性的な整った顔。
「…キスしていい?」
「………は?」
「あー、うん、わざわざ聞く必要もないよね」