とある先輩の、歪んだ狂愛。
サディストだけじゃない。
もしかしたらマゾヒストだって入ってる。
「靴捨てられて足踏まれて、みんながお前を可哀想で醜くて憐れだって思ってるよ?」
「っ、…そんなの、知ってます、」
「同情、つらいでしょ?でも面白いよね。そう見るヤツに限って助けてくれないんだから」
わたしの顔が悲しさと悔しさで歪んでいくほどに、彼はわらう。
「冷淡ロボット、いじめられっ子、可哀想なヤツ、そのレッテルを貼ったのは周りじゃない。
結局は自分なんだよ───…涼夏」
わかっている。
そんなこと、わかってる。
でも分かったようなことを軽々しく言ってほしくもない。
高槻 周なんかにわたしの何がわかるのって言いたい。
「もっと嫌って、蔑んで、恨んで責めて。───…もっと俺を興奮させてよ」
いや、ちがう。
マゾヒストは違う。
だってもしそうなら今、快感を得ているはずだ。
このひとは今───…泣きそうな顔をしている。
「…ねぇ、───……彩」
そんなにも震えていて、消えそうな。
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とある先輩の、歪んだ声。