とある先輩の、歪んだ狂愛。




私服姿の先輩はどこか新鮮で。

シャツから覗いた腕がやっぱり心配になるくらい白いのに。

伸ばした腕にスッと通った筋は男の人なんだと実感。



「涼夏、春菊きらいでしょ」


「え、…そんなことないです」


「じゃあいっぱいあるから全部よそってあげるよ」


「ぜんぶは困ります」



え、本当に全部よそう気…?

なんでそんなことしてくるの、この人。


……ちなみに春菊は苦手な食べ物の1つで。



「たったいま誰かさんが全部食べていいって言ってなかったっけ?」


「……気のせいです」



なんて言いながらも、春菊はそこまで入れずにわたしから一番遠い場所に位置する高級なお肉が取り皿へと。

さっき食べたのにまた追加してくれた…。



「あ、照れてる」


「…照れてないです」


「ほんと?こーなってるけど」



先輩は「ん」と、唇を尖らせて見つめてくる。


気づかないうちにわたしも同じ顔になってたみたいで。

窓ガラスに映った2人がアヒルのような顔で向き合っていた。



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