とある先輩の、歪んだ狂愛。
こんなこと、初めてだ。
先輩がどこか優しいときはきっと裏があるんだって思うようにしてるけど…。
でも今は何ともスムーズに触れられたから、思わず身体が硬直してしまった。
「いろいろご馳走さまでした。暑いからお母さんもお身体に気をつけて」
「ありがとうね~!またいつでも来てね」
そして先輩が大ちゃんの横を通りすぎたとき。
「涼夏と同じ学校?」と、声をかけたのは大ちゃんだった。
「そうですけど」
「涼夏、学校で上手くやれてるか?昔から気難しいところもあるからさ」
「…それは来たときに分かるんじゃないですか」
「まぁ…そりゃそうだな」
心なしか先輩の声が低い。
大ちゃんも、どこか真剣で。
そして先輩は何事も無かったかのように玄関の先へと姿を消して行った。
「涼夏、おまえ遊ばれてないか?」
「えっ、…どうして?」
「いや…なんとなく。ただ良い気はしない。俺の勘は昔から当たるんだ」
そう、大ちゃんの予想はどんな些細なことだとしても外れたことがない。
だから少しだけ厄介で。
「…先輩は、…いい人だよ」
大ちゃんはやっぱりすごい。