とある先輩の、歪んだ狂愛。
「良い気はしない」って、それはもう当てちゃったようなものだ。
遊ばれてるっていうのもほとんど正解。
でも夏休み明けから先生になる人なら、そんなことを正直に言えるはずもなく。
「涼夏、さっきの先輩のことが好きなんだな」
大ちゃんの勘は、当たる。
それを今になって覆してしまいたくなった。
前言撤回をしたかったのに、手遅れとなってしまっている今の状態。
「ふふ、お母さんもそう思ってたわ」
お母さんまで、なにを言ってるの…?
わたしが先輩のことを好き?
すき?
好きって、なに?
そう思ってしまうくらいに、わたしと先輩の関係って2人が思ってる以上にずっとずっと歪んでいるんだよ。
「っ…、……ち、ちがうっ」
咄嗟に自分の部屋へと向かってドアをバタンと強めに閉めた。
すぐにベッドへと飛び乗って、枕に顔を埋める。
ちがう、そんなのあり得ない。
それだけはあり得たらだめ。
「───…なんで……尖らせてるの、」
だけど姿見に映った顔は茹でダコのように真っ赤で。
唇は突き出すように尖っていて。
そして思い返せば、先輩の今日の笑顔はどこか今までとまた違ったってこと。
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とある先輩の、歪んだ笑顔。