とある先輩の、歪んだ狂愛。
時間が解決してくれる、それは強ち間違いでもなかった。
俺の時間は進んで、お前の時間は止まって。
そしてどんどんズレていって、いつか俺は年老いて死んでいく。
そんな毎日の中で自然と忘れていくんだって思ってたのに。
「───…お前に…、また会っちゃったんだよ俺」
神様は意地悪で悪戯だ。
そしてとても悪趣味で優しくない。
毎日毎日クラスメイトからの嫌がらせを受けてるような彩に。
誰にも見つからないような場所で、静かにいつも弁当を広げてるような彩に。
そして無愛想で滅多に笑わない彩に。
俺はまた、会わされてしまった。
「…勘弁してよ本当に」
結局、俺から近づいた。
放ってなんかおけなかった。
だってあんなにも可哀想だったんだから。
あんなにも憐れで惨めで見てられなくて。
「ほんっと、最低だよね俺って」
わかってる。
あいつは彩じゃない。
まったくの別人で、まったく違う性格をしていて、好きなものだって違う。
顔だって背だって声だって、全部ちがう。