とある先輩の、歪んだ狂愛。




そんな涼しい顔して淡々と言ってくる。

この生意気な店員は今日限りでクビにしてほしいものだ。



「あー…細かいの無いや。10000円からで」


「お釣りはいりますか」


「クレーム入れさせてもらいまーす」



「冗談です」と、店員は小さくつぶやいた。


そんな冗談いつから言えるようになったんだよ。

お前そんなキャラじゃなかったでしょ。



「それ買うの、先輩だけですよ」


「そりゃそうでしょ。だってまずいもんこれ」


「…前はおいしいって言ってませんでしたっけ」



涼夏にしては笑ってる。

本当に微量な変化だけど、俺もだんだん分かってきた。

いつからそんな笑顔が上手な女の子になったんだか。



「先輩、夏祭りって、…行くんですか」


「今日の夜、電話なりしようとしてたけど。…あれ?行きたくない?」


「…い、…行きます」


「んじゃ、そーいうことで」



あぁ今度は照れてる。

尖った唇を見送って、俺はコンビニを出た。



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