とある先輩の、歪んだ狂愛。




だろうね、人混み嫌いだもんねお前も。

俺の周りってどうにもそーいう奴らで溢れているらしい。



「あーくそ、アイテム取られた」


「なにやってんの。廉なんかアイテムに頼らなきゃ勝てないのに」


「うるせ」



カチカチとコントローラーの操作音。

エアコンの風、テレビから聞こえる陽気な音楽。


そんなものが違和感でしかない空気の中で俺は自然と言ってみせた。



「俺いくよ、お祭り」



すると廉が操作するキャラクターは橋から池へと綺麗に落ちたわけで。


もうおまえ最下位じゃん…。
どんだけ向いてないの、このゲーム。

これみんな大好きソリオカートだよ?

ゲームの中でもこれだけは老若男女楽しめる1つだってのに。



「…だれと」


「だれとでしょう」


「みなみすずか」



一発で当てられてしまった。

それは迷う素振りもなく、そういう勘は優れてるのにゲームの腕前は微妙。


「当たり」と、俺が答えたタイミングと俺の操作するキャラクターがゴールした瞬間が見事に被った。


…あ、まだラスト1周あった。



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